1. はじめに
「シオラボのネットワーク技術コラム」では、前回から「スイッチ」を取り上げています。今回からは、それぞれのネットワーク機器で具体的にどのような処理がおこなわれ、どのような役割を果たすのか、解説していくことにしましょう。まずは、L2スイッチについてです。
2. L2スイッチの役割

L2スイッチは、上の図のような小規模オフィスネットワークにおいて、エッジスイッチと呼ばれる役割を果たすことが多いです。LANの入り口となり、同じネットワーク内でのデータ転送をおこないます。なお、ここでネットワークとは、ルータやL3スイッチによって区切られた範囲を指します。先の小規模オフィスネットワーク例では、サポート部門や技術部門の範囲を、それぞれ同じネットワークと呼びます。L2スイッチでは、このネットワークを超えたデータ転送をおこなうことはできません。
3. L2スイッチにおける処理
L2スイッチは、複数のポートを持ち、そのポートに、PCやサーバー、無線LAN アクセスポイントをLANケーブルによって接続します。L2スイッチのLANポートには、MACアドレスと呼ばれるアドレスが付与され、L2スイッチは、そのMACアドレスに基づいてデータ転送をおこないます。LANに採用されている通信規格であるイーサネットでやり取りされるデータの最小単位を「イーサネットフレーム」と呼びますが、イーサネットフレームには、MACアドレスの識別子が含まれており、そのMACアドレスがデータ転送に使用されます。ちなみに、MACアドレスアドレスは48ビットのアドレスで、16進数で表現されているものです。
データ転送の際、L2スイッチでは以下のような処理がおこなわれています。
- まず、L2スイッチは、自分のポート先に接続されているMACアドレスを学習し、MACアドレステーブルで管理します。
- L2スイッチがデータを受信すると、そのデータに含まれる送信元MACアドレスと受信したポートをMACアドレステーブルに自動的に登録します。
- L2スイッチがデータを送信する場合には、学習したMACアドレステーブルを参照して送信ポートを決定します。
- もし、宛先MACアドレスが、MACアドレステーブルに存在しない場合には、すべてのポートへデータ転送をおこないます。これをフラッディングと呼びます。
4. L2スイッチの特徴
さて、L2スイッチには、以下のような特徴があります。
- ポートとポートを直接接続するので、ポート間でそれぞれの帯域を確保することができます。また、受信したデータをバッファで処理するため、ポート間の通信では、衝突(コリジョン)が発生しない全二重通信を実現することができます。
- ネットワーク機器同士で、お互いの機器が相手の通信速度やデュプレックス(複信方式)を判断して、双方が同じ条件となるように自動判別する、「オートネゴシエーション」の機能を持ちます。これによって、異なる通信速度の規格のポートを接続しても最適に通信することができます。なお、オートネゴシエーションは、IEEE802.3uで標準化されているものです。
- 100BASE-TXなどのLANケーブルを用いて、IP電話機やIPカメラなどに電力を供給する給電機能を持ったL2スイッチが存在します。ヤマハ製品だとSWX2100-10PoEなどがそれに当たります。

さらに、L2スイッチには、以下のような機能があります。
- VLAN
- スパニングツリープロトコル(STP)
- リンクアグリゲーション(LA)
これらの機能は非常に重要なので、次回、詳細に解説していくことにしましょう。
今回は、L2スイッチについて、その役割や処理について説明しました。次回は、L2スイッチにおいて重要なVLAN、STP、LAについて解説してきます。ぜひお楽しみに。
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