1. はじめに
前回の「シオラボのネットワーク技術コラム」から、「OSI基本参照モデル」について解説をしています。「OSI基本参照モデル」は、近年、実際に使用することは少なくなりましたが、ネットワークを勉強する上では避けては通れない知識の一つです。汎用的でオープンな通信モデルで、7つの階層に分割されています。前回は、それぞれの階層の役割について簡単に説明してきましたが、今回からは、それぞれの階層に対応するプロトコルやネットワーク機器について説明していくことにしましょう。まずは、下層の物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層の4階層についてです。
2. OSI基本参照モデルの階層に対応するプロトコル、機器

それぞれの階層について見ていくことにしましょう。
①物理層(レイヤ1)
物理層は、OSI基本参照モデルの最下層で、物理インターフェースのピンやコネクタの大きさや形状、伝送経路におけるビットの電気信号への変換方法などを定めています。簡単に言うと、ネットワークに接続するためのハードウェアについての物理的な仕様です。通信をおこなうためのケーブルの種類として、ツイストペアケーブル(UTP、STP)や光ファイバケーブル、同軸ケーブル、無線などがあります。ツイストペアケーブルにもいくつか仕様がありますが、ギガビット・イーサネットでの使用を想定したカテゴリー6Aが一般的になっています。
物理層で動作する機器には、リピータやハブがあります。リピータは、ネットワークを延長するために、減衰したりノイズが入ったりした信号を増幅する機器、ハブは、リピータと同じように増幅する仕組みを持ちながら、多くの機器と接続できるものです。
②データリンク層(レイヤ2)
データリンク層は、物理的に直接接続されているコンピュータなどの隣接するノードに正しくデータ転送をおこなう仕組みを持ちます。隣接するノードを特定するために、データリンク層ではMACアドレスなどの物理的なアドレスを使用します。MACアドレスとは、Medium Access Controlの略で、全体として48ビットで構成されており、上位24ビットはベンダーコードと呼ばれる各メーカーに割り当てられた番号、下位24ビットはシリアル番号と呼ばれる固有の番号で構成されます。
データリンク層で動作する代表的なプロトコルは、なんと言ってもイーサネットでしょう。イーサネットは、現在のLANで使用される有線ネットワーク技術の主流です。
データリンク層で通信をおこなう機器にブリッジやスイッチがあります。ブリッジは、MACアドレスを判断してデータの中継をおこなうものです。また、スイッチは、スイッチングハブやL2スイッチとも呼ばれ、多くのポートを持つブリッジと考えればよいでしょう。
③ネットワーク層(レイヤ3)
ネットワーク層は、データリンクをまたがる通信を可能にし、目的とする相手までデータを転送する機能を持ちます。
ネットワーク層における中心的なプロトコルには、ICMP(Internet Control Message Protocol)やIP(Internet Protocol)があります。IPは、インターネットにおける主要な通信プロトコルです。ネットワークに接続されているすべてのノードにIPアドレスと呼ばれる番号を付与します。ネットワークでは、このIPアドレスを使って宛先を特定します。また、ICMPは、IPプロトコルのエラー通知などを転送するためのプロトコルで、pingやtracerouteは、ICMPを使用したツールです。
ネットワーク層で使用される機器にルータがあります。ルータは、IPアドレスを判断してデータの中継をおこない、また、データの中継をおこなうために最適な経路を選択するルーティング機能があります。
④トランスポート層(レイヤ4)
トランスポート層は、エラー制御やフロー制御をおこない、伝送エラーの検出や再送の機能を持ちます。ネットワークに接続されているノードが複数のアプリケーションを同時に利用できるのは、トランスポート層で制御がおこなわれているからです。
トランスポート層で動作するプロトコルには、TCPやUDPがあります。TCP (Transmission Control Protocol) やUDP (User Datagram Protocol)は、IPの上位のプロトコルで、ネットワーク層のIPとセッション層以上のプロトコルの橋渡しをします。TCPは、3ウェイハンドシェイクでコネクションが確立されるのに対し、UDPはコネクション管理をおこないません。
今回は、「OSI基本参照モデル」における7つの階層のうち、下層の物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層について、対応するプロトコルやネットワーク機器を説明しました。残りの3階層については、次回、説明することにしましょう。次回もぜひお楽しみに。
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