河野哲治氏のコラム「インテリジェントL2スイッチとスマートL2スイッチの使い分けを考える」

河野哲治氏のコラム「インテリジェントL2スイッチとスマートL2スイッチの使い分けを考える」

2020.12.01

みなさんこんにちは、テックデザインの河野です。

「インテリジェントL2スイッチ SWX2310」と「スマートL2スイッチ SWX2210」、どちらも賢そうなL2スイッチで機能の差がちょっと分かりにくいと感じてはいませんか?基本的には数字が大きいほど上位機種になるのでより高性能・高機能になるのですが、具体的にどこが違うのか仕様表を見比べて把握するのはなかなか手間がかかる作業です。

そこで今回はSWX2310系とSWX2210系の違いをまとめてみました。

ハードウェアの違い

SWX2310系とSWX2210系のハードウェアの違いをまとめたのが下記の表になります。

SWX2210SWX2210PSWX2310SWX2310P
PoE××
10GbE××※1※2
48ポート以上××※3×
コンソールポート××
microSDスロット××

※1:SWX2310-18GT/28GT/52GTのみ
※2:SWX2310P-28GTのみ
※3:SWX2310-52GTのみ

ハードウェアの最も大きな違いは10ギガビットイーサネットに対応しているかどうかになります。SWX2210系は全モデルでSFP+ポートを搭載しておらず10ギガビットイーサネットに対応していませんが、SWX2310系では多ポートモデルがSFP+ポートを搭載して10ギガビットイーサネットに対応しています。

また、L2スイッチで48ポート以上のモデルが用意されているのは2020年10月現在SWX2310のみとなっています。多ポートスイッチ間のリンクはボトルネックになりやすいので、48ポートスイッチを複数使用するような場合SFP+は必須と言ってもいいでしょう。

コンソールポート、microSDスロットの有無はちょっとした違いですが、メンテナンス性に大きな差が出るので見逃せません。コンソールポートはコンソールサーバーなどを別系統のネットワークに設置しておけばスイッチのネットワーク接続が失われてしまった時のリカバリーが可能になりますし、起動プロセスの確認はTELNETやSSHではできません。また、microSDカードにstartup-configを保存して起動するようにしておけば故障時の復旧作業は機器交換とmicroSDカードの差し替えだけになるので、専門知識がない人でも復旧作業が十分可能になります。

機能の違い

SWX2210系とSWX2310系の主な機能の違いを抜粋したのが下記の表になります。機能は内容から「管理系機能」「高可用性・冗長化機能」「セキュリティ機能」の3つに分類しました。

管理系機能SWX2210系SWX2310系
スタティックルーティング×
LANマップLight×
端末監視×

管理系の機能はどれもSWX2310を代表する目玉機能と言っていいものがそろっています。個人的にはスタティックルーティング機能を理由にSWX2310系を選択するシーンが少なくありません。

SWX2210系を使用した場合、VLAN間のルーティングはルーターが行うため通信は必ずルーターを経由することになるため、VLAN間のトラフィックが多い環境ではスイッチ・ルーター間のトランクリンクがボトルネックになりがちです(Router-on-a-stickの状態)。RTX1210であればリンクアグリゲーションで最大8本までリンクを増やせるのである程度ボトルネックの緩和は可能ですが、RTX830やNVR系ではリンクアグリゲーションが使えません。スタティックルーティング機能を持つSWX2310系であればVLAN間ルーティングがスイッチ内で完結するため、ルーターの機種を問わずトランクリンクがボトルネックになりにくくなります。

LANマップLightはスイッチ単独でLANマップ機能が使えるようになるので、非ヤマハルーター環境のネットワークに機器を導入する際にかなり重宝します。

端末監視機能は死活監視で応答のないPoE機器を自動的に再起動できるためPoE環境下で極めて有用で、運用コストを大きく下げることができます。特にPoE機器の台数が多い環境では、端末監視機能だけを理由にSWX2310Pを選んでもイニシャルコストの増分を運用コストの低下で十分相殺できるはずです。

高可用性・冗長化機能SWX2210系SWX2310系
スタック×
スパニングツリー×
リンクアグリゲーション

高可用性・冗長化機能では、スイッチ自体を冗長化するスタック、L2経路のバックアップができるスパニングツリーを使えるのはいずれもSWX2310系のみとなっています。ポートを冗長化するリンクアグリゲーションはSWX2210系、SWX2310系ともに利用可能です。

セキュリティ機能SWX2210系SWX2310系
ポートセキュリティ×
RADIUSサーバー×
IEEE 802.1X認証×
MACアドレスベース認証×
Web認証×

機器の認証およびユーザー認証機能を搭載しているのはSWX2310系のみとなっているため、管理外の端末やユーザーからのアクセスを制限したい場合はSWX2310系を使うことになります。また、SWX2310系はRADIUSサーバーを搭載しているので、無線アクセスポイントなどの外部RADIUSサーバーとしても利用可能です。

価格の違い

きれいな階段状の価格設定になっているのが分かります。SWX2310の8 Port系にあたるSWX2310-10GだけはSWX2210系よりも安くなる逆転現象が起きており、お買い得感のある価格設定になっています。

8 Port系16 Port系24 Port系48 Port系
SWX221031,000円58,000円88,000円
SWX2210P79,800円119,800円159,800円
SWX231073,800円125,000円175,000円255,000円
SWX2310P112,000円172,000円219,000円

インテリL2とスマートL2をどう使い分けるか

SWX2310系にしかない機能がMUST要件にあれば迷わずSWX2310系を選択、WANT要件の場合は予算との見合いになります。管理系機能については運用・管理コストを下げることができるので、運用コストまで含めた予算で考えることができれば予算のハードルはいくらか下げることができるはずです。個人的な意見ではありますが、

  • PoEスイッチが必要な場合
  • VLAN間の通信が多い場合

はできるだけSWX2310系を選択しておくのがオススメです。

河野 哲治
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著者

河野 哲治

株式会社テックデザイン 代表取締役

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